イ・ミョン監督が手がける「2009 ロストメモリーズ」は製作費60億円(「シュリ」のなんと2倍!)と韓国史上最大のアクション大作。主演を張るのは仲村トオルに香港でブレイク中のチャン・ドンゴン。舞台は2009年、日本統治がいまだ続いている朝鮮半島という大胆な設定で、日韓関係の隔たりや民族観を超え、愛と犠牲、友情の在り方を問いかける作品になりそうだ。韓国、中国での撮影に続き、3月半ばからは日本ロケを敢行。3月26日、取材班は綾瀬にある日本武道館で撮影中の仲村トオル、チャン・ドンゴンを直撃した。





——本作品のどこに魅力を感じましたか。
チャン・ドンゴン 「シュリ」のことは覚えていますよね。「2009〜」はこれを上回るスケールだと思いました。外国の俳優と共演できることにも興味が湧きましたしね。
仲村トオル 僕もチャン・ドンゴンさんと同じ意見で、惹かれた一つはスケール感。もうひとつは、キャラクターの背景がしっかり描かれていること。チャンさんが演じた坂本は父親との確執であるとか、僕が演じた西郷は妻と娘であるとか、何かを背負いながら生きているんです。それに、外国映画で台詞を日本語で喋れるという設定は滅多にないことですから。

——それぞれの第一印象を。
仲村トオル 実際に会う前に資料のビデオを観たんです。すごく、はっきりした顔の人だなぁというのが最初の印象です。
チャン・ドンゴン 「東京攻略」ほか幾つか作品を観て、強くて、性格もきつい人なんだろうなって(笑)。実際会ったら優しくてマジメな人でした。

——朝鮮系日本人を演じるチャンさんは台詞も日本語です。語学の勉強は?
チャン・ドンゴン …(笑)。きちんとした日本語を勉強したわけではなく、台詞をハングル語読みで覚えています。仲村さんには最初よりうまくなってきたと言われますが…。





——2人のコミュニケーションはどうしてるんですか。
仲村トオル ほんのわずかなハングル語とわずかな英語と、あとは通訳さんにお願いしてます。僕のハングル語は現場での挨拶とか、皆の音を真似するとかその程度なので。

——撮影に入る前には武術訓練や射撃の練習ほかハード・トレーニングをこなしたとか。おりしも、韓国は70年ぶりの大寒波。
仲村トオル 初めて韓国に行った日が−20℃でした(笑)。翌日から合宿だったんですけど腕立て伏せ、前転に始まり、ガンアクションや壁を飛び越える練習まで。大体1日8時間くらい、でしたかね。でも、訓練の内容よりもきつかったのは寒さと、集団のなかでたった一人の日本人というプレッシャー。終わった時はさすがに感動しましたよ。
チャン・ドンゴン 僕の方が見本を見せなきゃいけない立場なのに仲村さんはすごく頑張っていました。おかげで疲れを出したくても出せなかった(笑)。
 
——日本映画とは違う、と感じたエピソードを教えてください。
仲村トオル とにかくね、マイペースでやろうと思ってるんです。現場は1日3歩しか歩いちゃいけない、みたいなルールでやってるような、ゆっくりジワジワとゴールに向っているような…(笑)。最初に撮ったカットが銃撃戦のシーンだったんですね。チャン・ドンゴンに“耳栓しないのか”って聞いたら“しない”って(笑)。日本映画だったら絶対するよな、って思ったんですけど、我慢しました。“カット!”って声も聞こえないほどですから、向こうの役者ってすごいなぁと感心したんですけど。
チャン・ドンゴン 実はですね、仲村さんに言われた次の日、僕は耳栓をしていったんですよ(笑)。

執筆者

寺島まりこ

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作品紹介
仲村トオル・オフィシャルサイト