『幻の光』『ワンダフルライフ』の是枝裕和監督・最新作『ディスタンス』の完成披露試写会&舞台挨拶が渋谷シネマライズで行われた。訪れたのは是枝監督と、浅野忠信、ARATA、寺島進、伊勢谷友介、夏川結衣、遠藤憲一ら個性派俳優の面々。特殊な演出に特殊な撮影スタイルで行われる、今作品。カルト教団による殺人事件の〔加害者遺族〕たちを主軸にしたドキュメンタリー・タッチの物語という、あのオウム真理教の事件を彷彿させる設定からして重く、そして興味深いものを感じさせられる。完成した作品について監督、及びキャストの方々はどう思ったのであろうか?









『幻の光』『ワンダフルライフ』の是枝裕和監督の最新作『ディスタンス』。カルト教団による殺人事件の〔加害者遺族〕たちを主軸にしたドキュメンタリー・タッチの物語という、あのオウム真理教の事件を彷彿させる設定からして重く、そして興味深いものを感じさせられる。ほぼ全編手持ちカメラで、人工照明は使用せず自然光のみでの撮影。音楽はまったく無し。脚本も相手の台詞は書き込まれてなく、物語の方向性と人物設定だけを知らされて行う、という大変特殊なもので、実際の撮影も大変だったのでは、と思わせる。果たして監督、キャストの方々はその辺りを、どう考えていたのだろうか?また完成した作品については?

寺島  え〜と、上映時間は2時間19分です。あっという間です。ゆっくりエクスタシーを味わって、天国に近いとこまで昇っていって下さい。ヨロシク!

伊勢原  こんなにたくさんの方々に観に来て頂いて・・・・本当にありがとうございます。特に言う事はありませんが、とにかく、観てください!

ARATA  ・・・・楽しんで見てください。

結衣  えー、こういう撮影の仕方は初めてだったので、とてもいい勉強にもなり、またここにいる方々とお仕事ができ楽しかったです。出来上がった作品も、お客さんのような気ちで楽しめました。皆さんも是非楽しんで観てください。

浅野  撮影の前に監督から、太宰治の『走れメロス』の中にある、ある作品を読んで欲しいと言われて読んでみました。それがユダの話で、観てもらえば分かりますが、僕の役がその役なんですね。・・・なんかいきなり凄い役だなって思いましたね。ヤバイ人なんですよ、この役は。まず観てください。

遠藤  是枝監督はあこがれの監督でした。撮影時のエピソードとして、こんな事がありました。夏川結衣さんとの会話のシーンで、監督が何でも好きにやっていいと言うので、じーっと見ているうちに、「綺麗な人だぁ」と思い、キスしたくなり、キスしてしまいました!・・・でもカットされてしまいました。どうもご馳走様です(結衣さんに一礼する遠藤さん)。とても楽しい現場でした。

是枝監督  今回は細かい台詞は現場で書きました。それに応えてくれるキャストに恵まれ、納得のいくものとなりました。出てる人達とのコラボレーションで出来上がった映画です。テーマは重たいんですが、目を背けずにつくりました。なので、皆さんも最後まで、正面から観て欲しいと思います。

執筆者

永見 憲宏