『ゆうばりシネマサポーターズ』第3回作品として製作された、やなぎさわやすひこ監督の“ゆうばり”三部作の最終作品『U−X』がついに完成。2月3日土曜日には、今年も大森のニフティ内セミナールームにて、スタッフ・キャストやゆうばり・東京ファンタのプロデューサー小松沢陽一氏など多くのゲストを迎えて、完成披露試写会が開催されました。当日は午後3時からの開演であったにも関わらず、12時半頃より並んだ熱心なファンをはじめ、110名を越す沢山の観客で会場は超満員の盛況ぶり。作品同様、熱い上映会になりました。




3週連続して週末は雪が続いた東京ですが、この日は見事な晴天。そう、やなぎさわ監督“ゆうばり”三部作中、シリアスなアクションが強調された『U−X』ですが、緑が美しい夏の夕張で撮影されたクライマックス、夕張鹿鳴館での壮絶なバトルに天気もあわせてくれたようです。昨年の『U−A/ゆうばりエイリアン』上映時には、光エイリアンが雪を呼んでくれたように、やなぎさわ監督は自然を見方につける才能もあるようです。
今回は司会進行も務めたやなぎさわ監督ですが、作品が完成したのは披露試写の2日前の2月1日。まさに、出来たてほやほや状態。舞台にはやなぎさわ監督に紹介され、1年前の『U−A』時に比べすっかり大人びた(でも、やっぱり明るい)ヒロイン役の三田真央さんをはじめ、平野くんじさん、チャック・リードさんらキャストの皆さんが登場。会場の観客と同様、キャストの皆さんも、今日の上映で完成作に初めて触れるとか。また、作品の応援に駆けつけた小松沢プロデューサーも、会場の熱気に感激しつつ「大人が決めたメジャー・マイナーの区別ではなく、ファンが面白いと思った作品があっという間に世界に通じる時代が、すぐそこまで来ていることを実感しています。そういう意味でも、やなぎさわ監督の“ゆうばり”三部作などが、近い将来力を持ってくれたら嬉しい」と熱いエールを送りました。



作品の上映後には、武藤陶子さんも加わってキャストの皆さんが舞台に再登場。それぞれの近況や作品の感想などが語られたほか、同じく今年のフォーラム2001で上映される『男たちの遊戯』を監督した松井哲哉さん、『U−X』のカメラマンでもあり監督作品『WILD NIGHTS』がやはりフォーラム2001で上映される鈴木洋一さんと主演の西冬彦ら、これからが期待される若手の映像クリエイターのお仲間も会場に駆けつけ、それぞれの作品に関してアピールを行いました。それぞれ、新しい日本映画への息吹が感じられ楽しみです。
また、映画のエンディングで流れる三田真央さんの歌う主題歌『MY ALBUM MEMORY』(作詞・作曲は真央さん御自身、作曲・編曲・プロデュースは元もんた&ブラザーズの高橋誠氏と本格的)のCDの販売も行われたほか、元気一杯の真央さんはじめキャストの皆さんへの撮影タイムもしっかり設けられファンにはたまらない一時となりました。
なお、やなぎさわ監督の次回作はタイトルからは“ゆうばり”が外れるものの、やはり夕張で製作されるそうです。タイトルは『SENTINELS』になる予定。気が早い話ですが、また来年も熱い作品が期待できそうです。また『U−X』自体も、フォーラムシアター2001での上映に向けて、CGIの場面の追加などの作業が行われているそうです。この日の上映を観られた方も、是非もう一度ゆうばりで楽しんでください。




キャストの皆さんからの、作品に関してのコメントです。

チャック・リード:ヒロインをガードする戦士チャック
アメリカン空手の名手で、映画出演は3本目。やなぎさわ監督のデビュー作『Blood-Two-Eagle』にも出演しています。

−−今回の作品も、とても気にいっています。大柄な黒人である私のような人間は、善くない、怖いイメージがあったでしょう。私が最初に出てくると、こいつは悪役だろうという印象だと思いますが、映画が進むに従い、徐々に正義としての心を感じていただけるでしょう。この作品で、黒人に対するイメージが、クリーン・アップされると嬉しいです。

三田真央:パラサイトの女王の宿主に選ばれ逃亡するヒロイン、まお
『U−A』に続いてのヒロイン役。ゆうばりでは、『男たちの遊戯』上映。また3月にオン・エアされる『百獣戦隊ガオレンジャー』にも出演予定。

−−今回は、細かいところで前回よりちょっとレベル・アップしたかなと思います。いろいろな人が力を貸してくださって、一つの映画が出来上がったということがとても素晴らしいことだなと思って。だからもっとレベル・アップをしていって、多くの人に観ていただけるようになって欲しいです。『男たちの遊戯』の方は、役柄を説明しちゃうと物語が読めちゃうので、シークレットということで(笑)。



平野くんじ(from『TEAM発砲・B・ZiN』):二人を助ける刑事
『U−ZOM/ゆうばりゾンビ』『U−A』と“ゆうばり三部作”全作に出演。すっかりやなぎさわ監督作品の顔としてファンからの信頼も厚い。

−−3作品続けて出演して、3作目でやっと監督の世界が見えてきたかなという感じです。いつもカット割と編集で、すごいスピードが出ているところとか、それでいて内容が薄くならない。カットの早さが、もっともっと出てくることによって、面白くなっていくんだと今日観ていて思いました。個人的には、夕張が第二の故郷みたいに感じています。現地の方もすごく良くしてくれるし、出来る限り続けていきたいと思います。

武藤陶子(from『TEAM発砲・B・ZiN』):二人を助ける薬屋
『U−A/ゆうばりエイリアン』に続いての出演。同じ劇団に所属する平野くんじさんとの絶妙なコンビぶりは、作品のもう一方の見所です。

−−今回はすごく時間をかけて夕張で撮影し、カメラマンの鈴木さんもいいアングルで撮ってくださっていたので、出来は期待していましたが、いい感じに上がっていました。こうやってどんどん面白く、やなぎさわ監督が撮りたい映画に近づけばいいなぁと思っています。私のほうも、舞台のほうばかりやっているもので、ちょっとオーバー・アクションし過ぎなんで、映像用に近づかないとなと、反省している今日この頃です。

なお、『U−X』はゆうばり国際ファンタスティック映画祭のフォーラムシアター2001出品作品として、2月15日(木)23:00、2月16日(金)18:00、2月18日(日)16:00の3回上映予定。当日はやなぎさわ監督、三田真央さん、チャック・リードさん、そして披露試写会には残念ながら参加できなかった戦士X役の張建祥さんらがゲストとして参加する予定です。お楽しみに!

執筆者

HARUO MIYATA

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公式ホームページ
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2001