「そうですね…まだ19歳でした」。『発狂する唇』の撮影が行われてから、早1年半。ヒロイン里美役を体当たりで演じた三輪ひとみさんは、「今、見ると恥ずかしいですね、DVDで観るともっと(笑)」と、少し照れながら話しました。DVD発売記念イベントも最終日となった1月26日のプログラムは、「発狂する撮影現場」と題された佐々木浩久監督と三輪ひとみさんによるトークです。当日は、「お姉ちゃんを迎えに来ただけ(笑)」というひとみさんの妹さんの明日美さんも途中からトークに加わり、対照的なキャラクターでありながら実になかのいい姉妹ぶり。アット・ホームで明るいムードに包まれた1時間となりました。
まずはDVDの鮮明画像についての話題がひとしきり。二夜の“魔”の話じゃないですが、劇場では気づかなかった、映っていて欲しくないものに気づいちゃうこともしばしだそうです。



佐々木浩久監督(以下佐々木)−−DVDは撮ってる方も全く意識していないようなものがぼこぼこ映ってたりするんです。『発狂〜』のカメラマンの喜久村(徳章)さんは、『CURE』とか担当されているんですがワリと緩いサイズで長回しで撮るのが得意な方なんです。ラッシュがあがった時に「こんなものまで…」というくらいで。そういう意味では、役者さんはいっぱい動かされる広い絵づくりになっています。だから、例えば実際そういう場面はあまりないけど、吉行(由実)さんが手前にいて奥にひとみちゃんがいるような場合は、気をぬいてたりすると直ぐにバレちゃうみたいな(笑)。
三輪ひとみさん(以下ひとみ)−−ほくろとかが結構気になるんですよね。“しあわせはどこに”を歌い終って、手をこう上げて下げてくるじゃないですか。その時の足元に、黒いT字の目印がしっかり写っていて。そこまでは写ってないよと、助監さんか誰かに聞いていたんですが、誰も気づいていなかったのかな?
佐々木−−『発狂〜』といえば、昨日の高橋さんのグランギニョルとか様々な評価がありますが、僕はこの映画の楽しみ方は、“三輪ひとみワンマンショー”をいかに楽しむかということじゃないかと思いますが。
ひとみ−−そう観れば、怒りもわかない(笑)。
佐々木−−それは貴方の顔が、この映画にむいている。一昨日、柳下(毅一郎)さんと話した時も、虐められ系のキャラで、『サスペリア』なんかに出るときっと凄くいいんじゃないかなぁと。だから、『発狂』シリーズ第3段を撮る時には、原点回帰して昆虫軍団に襲われるとかね。『スクワーム』のようなミミズ・シャワーとかね。
ひとみ−−ミミズはまだいいんですけど、私蜘蛛は駄目なんです。蜘蛛はやめてくださいね。


佐々木−−今回の『血を吸う宇宙』の最後は蜘蛛なんだよね。あれ、本物使えてよかった。だから、PART3は昆虫軍団に襲われる美少女という設定。でも僕は個人的には虫が死ぬほど駄目な人間だから、その撮影は誰かにまかせちゃおう。それと、DVDはチャプターで選ぶとすぐに三輪ひとみの歌が出てくるし、音がまたすごくいい。
ひとみ−−これまた難問ですよね(苦笑)。
佐々木−−うまい歌の方に差し替えようかとも思ったけど、ああいう下手なのが受けたと思うんですよね。今回の『血を吸う〜』の子は、ああいう下手にならなかったんですよね。
ひとみ−−そうですかね、私は何気にショックでしたあけど。今年の人は、すごく意欲的だと新聞に書いてありましたね。
佐々木−−そう、骨を折ったんだ。今年は。香港アクションの撮影初日にポッキリと。去年はあれだけ森の中を走り回ったのにね。これは、三輪ひとみは丈夫なんだなぁと。でも、貴方がDVDでクリアになった画面で耐えられる顔でよかったと思いますよ。
ひとみ−−やばいですよね。そういう意味じゃ、化粧の下がばれちゃう。吉行さんは、お若いのがばれちゃいますね。
佐々木−−あの人は芝居でやってるから、ビジュアルでばれたりはしないからいいんですけどね。そういう危険は常にあるんで。
ひとみ−−その年の方にみえますものね。それで、実際に逢うと全然違うんですよね。すごくお若い。

佐々木−−三輪さんの顔は、すごく虚構みたいなことをやるのにあってると思うんです。虐められ系というか。他の作品でも虐められ系が多いの?
ひとみ−−最近は、なんとなくホラーが多いですね。あたしよりも妹の方が出てるんですけど、『死びとの恋わずらい』という映画が3月下旬に公開ですね。私も初日の舞台挨拶も行くらしいです。『血を吸う〜』の方は?
佐々木−−夏の終わりから秋くらいの公開で、今回はレイトじゃなくて昼間から。遠くからの方も、終わってから朝まで飲んで時間をつぶさなくても済むと(笑)。ところで、そろそろ前に出てきますか
三輪明日美さん(以下明日美)−−今日は私、お姉ちゃんを迎えに来ただけなんですけど時間を間違えてしまったという(苦笑)。じゃぁ、宣伝してもいいですか。
佐々木−−どうぞ、『発狂〜』については既に語り尽くしちゃって、今日は三輪ひとみを見てくださいって日だから。
明日美−−二人で出ている『死びと〜』が3月下旬から、新宿東映パラス2ほか全国でやるんですけど、『発狂〜』では普通にお姉ちゃん変じゃないですか。でも、『死びと〜』は見かけが変なんです。すごいですよ、本当にヤバイ。道端を通った女子高生が…
ひとみ−−私のこと?…そうなんですよ。道端を通った女子高生に「気持ち悪い!」って逃げられちゃった。すごいショックだったんですよね。
明日美−−その時、現場に私もいたんですけど、松田龍平と後藤理沙の二人もなんか逃げてて、お姉ちゃんに声をかけられない。小さな子供とかもいたんですけど、悪夢をみそうだって。
佐々木−−でも、それはちょっと珍しいよね。やられ系じゃなくて、やらせ系でも見た目で怖いというのは。

明日美−−それと、『発狂〜』と同じプロデューサーの作品で『LOVE SONG』。あるシーンで歌を歌っていて作詞もしています。どこで流れるかは、秘密にしておきますが。それから、市川準監督の『東京マリーゴールド』、学生さんが撮っている『glowing growing』、ゆうばりファンタでも上映される『man−hole』、Vシネの『嫌な奴』、BSiのドラマ『最悪』…なんかもう、私もよくわからないんですが(笑)、とりあえず色々とコマメにやっていますから映画を観てください。
佐々木−−そういえば、今日の3人は共通点があるのね。『血を吸う〜』では、ついに僕がTVから聴こえてくる“謎の電波のうた”っていうのを、自分で歌っちゃいました。グループ・サウンズ風の奴。俺、ダビングの時に自殺したくなったけどね。ジョン・カーペンター(監督)のように、自分で歌ってエンド・ロールでも…と予定してたんだけど、結局そちらはペニシリンに取られちゃった。
ひとみ−−歌とかって…いやな繋がりですね(苦笑)。
佐々木−−(明日美さんに)でも、一人だけ優越感感じてるでしょ。自分だけはって。
明日美−−いやだって、『ラブ・ソング』は真面目に歌ってますからね。でも私とお姉ちゃんの『発狂〜』と『ラブ・アンド・ポップ』はある種、騙しじゃない。お姉ちゃんは、現場で歌った歌が使われたり、私は一発録りで勝手に使われたり。佐々木監督は、自分で歌ったんでしょ。
佐々木−−俺も騙しだったよ。ゲイリー芦屋って奴に。なんかこう、短く切ってくから、どんな風になってるかわからなくて、後から聞いたらアホだよ。
ひとみ−−『血を吸う〜』の舞台挨拶で、是非自分で歌いましょうね。
明日美−−照明をちゃんとあててもらって、バック・バンドつけて。
佐々木−−いいねぇ。石井聰互みたいだ(笑)。

to be contuned…

執筆者

HARUO MIYATA

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