彼女の父親がデ・ニーロ!?それも元CIA、人間嘘発見器と言われた男…。「ミート・ザ・ペアレンツ」は結婚間近の男性にとって背筋が寒くなるコメディに違いない。監督は「オースティン・パワーズ」のジェイ・ローチ、悩める求婚者に「メリーに首ったけ」のベン・スティラー。来たる2月9日、東京は京橋のホテル西洋で現代最高のコメディ・コンビが会見に臨みました。詰め掛けたマスコミに対し、「これだけ集まったんだからヒット間違いなしだね」とはジェイ・ローチの弁。軽快なジョークに包まれた会場からは義父との付き合いに悩む男性の悩み相談まで飛び出す始末。2人からのアドバイスは「実は、僕も映画の撮影直前に彼女の両親に会いに行ったんだよ。映画からの教訓でいうと嘘をつかず素直に自分を見せるべきだね」(ベン・スティラー)、「彼女のお父さんと『ミート・ザ・ペアレンツ』を観に行くべき」(ジェイ・ローチ)だそうです。
※3月下旬、日比谷映画ほか全国東宝洋画系でロードショー





——ベン・スティラーに。監督経験のあるあなたからみたジェイ・ローチとの仕事は。ジェイ・ローチに。監督経験のあるベン・スティラーとの仕事は。
ベン・スティラー (自分が)俳優として見たとき監督は素晴らしい。監督として見てもジェイ・ローチは素晴らしい。コメディの撮影中というのは実は誰一人笑ってないんだよ。どういう風に見えているのか僕らにはわからない。監督だけが頼りになる。その点、彼は俳優をサポートするのがすごく上手だった。
ジェイ・ローチ ベン・スティラーのような人との仕事は監督業が楽にできる。というのも、ベンはアイディアを脚本段階から出してくれたし、キャスティングも考えてくれた。現場で僕が煮詰まった時も解決策を出してくれる。彼は偉大なコメディアンだよ。

——撮影中のエピソードを。
ローチ 猫が関わるシーンでは必ず何か起こってたね。デ・ニーロが猫のミスタージンクスを抱いて出てくる場面では、猫を手なづけるためにベーコンをポケットに入れていた。隣にいる母親役のプライス・ダナーはここで怯えた表情を覗かせているんだけど、猫にひっかれやしないかと気が気じゃなかったんだね。
スティラー 猫は赤ん坊と同じで、俳優としては非常にやりにくいんだ(笑)。一緒のシーンでは猫が一番良かったテイクを使われてしまうから。

——「メリー〜」では犬に急所を噛まれ、今回は猫。ベン・スティラー、お次はどんな動物に襲われるのでしょうか。
スティラー いい質問だ(笑)。次は……、蛇あたりじゃないかな。





——コメディほど難しい映画ジャンルはないですよね。演出で気を遣うのは。
ローチ コメディを撮る時は観客と会話しているような感覚。観客の一人になって台詞を聞いているという感じだろうか。でも、コメディに決まったルールはないんだよ。
スティラー 僕も同じ意見だよ。実はこの話はさっきランチを取りながらしたばかり。コメディにはルールがない、方程式がどうとか、そういう人ほどわかってないように思うね。シリアスな話には観る人によって、いろんな解釈があるけど、コメディだと笑うか笑わないだけ。いくらディスカッションしたところで笑われなかったら失敗なんだよね。

——そんなコメディの道を選んだのは。
スティラー 僕の両親はコメディアンだった。子供の頃からラスベガスでのショーについていったり、テレビの現場にも行ったし。学校に行くよりも楽しかったな。多分、そういう環境にあったからコメディに惹かれるんだと思う。
ローチ 映画を観て笑うのが好きなんだよ。涙が出るほど笑うってことがね。僕にとってのドラッグみたいなものなんだ。

——悪夢のような父親をあのデ・ニーロが演じています。“ミート・ザ・ロバート・デ・ニーロ”の瞬間を教えてください。
ローチ 想像してみて欲しい、あの瞬間の恐怖を。小さなホテルの一室で、たった一人で会わなきゃならなかった。デ・ニーロはあの年代の代表的なスターだし、これまでの作品から怖いというイメージがあった。だからこそ、悪夢のような父親に相応しいと思ったんだけどね。結果的に言って、僕は劇中のグレイグ・フォッカーと同じように支離滅裂になってしまったんだ。でも、デ・ニーロは僕の父の仕事にすごく興味を持ってくれた。彼が演じる元CIAと同じ、極秘の事業についていたからね。
スティラー ヒミツにを教えてあげようか。僕は劇中でびくびくしているけど、現実ではデ・ニーロの方がびくびくしてたんだよ。彼は僕の大ファンだって言ってね。僕が偉大な俳優だからこそ、ああいう風に怯えているように見えるんだよ(笑)。なーんて、全部冗談。ホントのところは緊張しまくりで、萎縮してずっーとびくびくしてた。それが役作りのポイントになったね(笑い)。

執筆者

寺島まりこ