「汝、悪人どもをブチ殺すべし!」。全米各州で上映禁止になった「処刑人」(トロイ・ダフィー監督)がまもなく日本にやってくるぞ。ヒーローは兄弟揃って、信仰深く、何ヶ国語もを自在に操り、処刑ミスは皆無、おまけにとびきりのハンサムときた。このたびは弟君を演じるノーマン・リーダスが来日。プラダやダーバンのモデルでも知られる2001年の大本命か。「トロイの脚本に飛びついた」というノーマンは、ヴァニティ・フェア誌のカバーを飾るも「マジメにやる気がしないかったよ」とうそぶく生意気さがまたキュートだったり。7日、キャピタル東急ホテルで行われた会見をレポートしましょう。





——出演までの経緯を教えてください。
脚本を読んだ途端、この話が大好きになったよ。監督のトロイ・ダフィーは当時、バーテンをやっていたんだけど、すぐに電話を掛けて彼のバーを尋ねてみた。しこたま飲んで酔っ払ってる最中にトロイはこう言った。「君がこの役をやるんだよ」って。実はこの時、ミラマックスが動いていて、僕の役にはボン・ジョヴィを考えてたらしい。でも、トロイは僕を使うと言い張ってくれたんだ。

——ショーン・パトリック・フラナリー、ウィレム・デフォーとの共演は。
 ショーンに会ったとき、最初にこう言ったんだよ。「ホントの兄弟にならなきゃな」って。
彼はアイリッシュ系だけど僕は違う。アクセントだって違う。ショーンには2週間くらい、べったり付きまとって、歩き方だとか、体の動きすべてを真似た。劇中の2人と同様にね。最後には機械みたいに一体になった(笑)。もちろん、喧嘩したこともあったけど、兄弟喧嘩みたいなもんだったよ(笑)。
 ウィレムは自分の役に対してものすごい集中力を発揮できる人だ。自分のマインドのなかに深く深く入っていくみたいに。最初に会ったときも彼は確か、ヨガらしきポーズを取っていたくらいだから。

——ハードな描写で全米では上映禁止に!トレンチ・コート・マフィア事件の影響が大きかったとか。
 トレンチを着た少年たちの暴行があった時、リベラルで通っているクリントンですら、規制に動かざるを得なくなったからね。この事件が起こったのは編集が終わる数日前。僕らとしても当分、見合わせる方向でいたし、劇場側も同じ意見だった。しばらくして、限定で公開されてカルト的な支持を得るに至ったわけだけど。



——インディペンデント映画出演が多いようですが、自分の好みなんですか。
 メジャーものはひどい作品が多いだろ。「スクリーム3」とかさ(笑)。作る必要性のないものに出ようとは思わない。だったら、大事な時にいい仕事ができるよう、充電期間にしたいんだ。少し前にソープドラマの出演依頼があったんだけど、ギャラはすごく良かった。でも(笑)、断ったね。

——ヴァニティ・フェア誌の表紙を飾ったりもしてますが。プラダのモデルもしてたでしょう。
 ヴァニティ・フェアは本当はやりたくなかったんだ(笑)。真剣にやる気になれなくて、撮影も1時間ばかり遅刻していったよ(笑)。モデルとしては全然いいモデルじゃないと思う。プラダの場合は、全員が俳優だったし。ジョン・マルコヴィッチとかカネシロ・タケシとか。

——ダーバンは?(※この日の会見は同社が協賛)
 ・・・(笑)。ダーバンはクールだったよ。スタッフ皆がね。いい仕事ができたと思う(笑)。

執筆者

寺島まりこ