日活ロマンポルノを代表する小沼勝の華麗なる映像集『<サド・マゾ>匂い立つ官能、新世紀エクスタシー』が1月27日からユーロスペースでスタートしました。師匠小沼に捧ぐ、中田秀夫監督のドキュメンタリー「サディスティック&マゾヒスティック」を含む13本のロマンポルノが一挙上映に。なおかつ、毎週土曜日がスペシャルトークショーと来ては、足繁く通うほかはないでしょうよ。初日のゲストは小沼&中田監督、往年のポルノ女優風祭ゆきさんでした。大雪の降ったこの日、劇場には女性客の姿もちらほらで感動を隠せない3人なのでした。




「ロマンポルノって1100本くらいあるんですけど、倉庫に眠っていたら映画とはいえないでしょう。きっかけを作ってくれた中田監督は僕に対して、3度の殺意を覚えたそうですけど、その殺意とやらに感謝しています」(小沼監督)。日活ロマンポルノと小沼勝監督に捧ぐ「サディスティック&マゾヒスティック」は、中田監督2度目の映画ドキュメンタリー。一本目はジョゼフ・ローズ監督のもので上映館は偶然にもユーロスペース。「前作で反省する点も多々ありましてね。ご本人がいらっしゃるのだからなんとしてでも食らいついて、軽妙な笑えるドキュメントにしたかったんです」。
中田監督は、学生時代に今はなき亀有名画座で風祭ゆき特集を観た記憶があるとか。「セックスというより、男と女のアクション映画だと思うんですよね」(中田)。現場では生傷が絶えなかったという風祭さん。「小沼監督に“腿をケイレンさせなさい”とか言われてすごくびっくりしましたよ。逆に男性の目から見た女性というのを教えられたというか、大人の女の人ってそうなんだ、って感心しちゃったり…」。小沼監督も“日活ポルノ=肉弾アクション”には同意。「まさにあれは運動会だったな、とか思うんですね」。
日活での助監督時代、小沼組に何度かついたという中田監督。「サド&マゾ」といい、それに絡む今回の特集といい、師匠へのこれほどの恩返しがあるでしょうか。「小沼作品っていうのはですね、ハダカの画面があるから官能的なんじゃなくて、登場人物の変わろうという意思が官能的というのか…。この12本で小沼曼荼羅、小沼勝の華麗なる世界をどうぞ堪能してください」と締めくくってくれました。

執筆者

寺島まりこ