<サド・マゾ>匂い立つ官能、新世紀エクスタシー。ユーロスペースで行われている小沼勝監督特集も2週目に突入しました。1日3−4作品、3日替りの演目に、週替りのトークショーで2月3日、壇上に上がったのが「生贄夫人」の谷ナオミ。「45歳を過ぎて、私を知ってる方はマジメな男性、知らない方は不真面目な男性」。今日のこの日のため、九州から駆け付けた往年のポルノ女優は小沼監督と「サディスティック&マゾヒスティック」の中田秀夫監督を相手に円熟したトークを披露。意外に(?)、それともやっぱり(?)目立ったのは若い女性の姿なのでした。





小沼作品のSM色は女優、谷ナオミにあった!?「あの頃の日活撮影所は谷ナオミを入れることが大テーマだったんです。勧誘すごかったでしょう」(小沼)。当時、独立プロにいた谷さんは団鬼六作品など激しい縛りを得意としてきた。「僕がね、SMというより谷さん自体がSMだったんですよ」(小沼)。
特集開催のきっかけとなったロマンポルノ・ドキュメンタリー「サディスティック&マゾヒスティック」だが、もちろん、同作品に谷ナオミも登場する。「1時間近口説かせて頂いて…」とは中田監督の談。助監督時代、さんざしごかれた小沼組と違い「僕は監督用語でのサディズムはないですけどね。でも、第三者から見ると…撮影中断してみたり、女優さん、男優さんに対して…。ちょっとはあるのかな(笑)」。
 「観客の皆さんには私以上にワンカット、ワンカット覚えてらっしゃる方もたくさんいらっしゃるんですよね」(谷)。「僕だって、忘れてしまいますよ。錯覚で間違えて思いこんでいるのありますからね」(小沼)。当日、会場には「生贄夫人」をスクリーンで6回観たという観客も。“観たいシーンがあっても当時はビデオがなかったから映画館をはしごするしかなかった”と言う。ロマンポルノ初体験の若い観客はもとより、「ビデオでは作品を観る気がしない」という小沼監督にしても、「20数年たって自分の映画館で見られるなんて思っても見なかった」という谷ナオミさんにしても、作り手の感慨はひとしおだったようで。

執筆者

寺島まりこ

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