『ザ・ラストシップ』インタビュー:エリック・デイン、ローナ・ミトラ、アダム・ボールドウィン、トラヴィス・ヴァン・ウィンクル、そしてハンク・スタインバーグが語る
『トランスフォーマー』シリーズ マイケル・ベイ製作総指揮
全世界絶滅の危機!人類を救う、最後の戦艦—。
『トランスフォーマー』シリーズのマイケル・ベイ、遂にTV界進出!
初のTV ドラマ製作!映画超えのスケールで描く、海洋アクションドラマ!
未体験の超絶映像が、観る者を圧倒する!
アメリカ全土で衝撃を与えた最新超大作、ついに日本上陸!
最高のスタッフ・キャストで贈る超大型ミリタリー・パンデミック・アクション!
全米新作ドラマ視聴率No.1 を獲得!平均視聴者数750 万人を記録!
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史上最大のパンデミック発生!人類壊滅の危機!
人類の80%以上が謎の伝染病で消滅した世界。
人類の運命は、戦艦に残された216人に託された—。
はたして人類を絶滅から救えるのか!?
彼らの任務は、ウィルスを止め世界を救い、そして生き抜くこと!
衝撃のクライマックスが待っている!
愛する者、大切な者のために自らの命をかえりみず、脅威に立ち向かうー
1988年に出版されたベストセラー小説にもとづく。
想像を超える展開の連続!壮大なアポカリプスを描く。
Q:本作における黙示録のテーマについて、そして人類の黙示録が舞台設定になっているドラマや映画は現在いくつあるのかについてお話しください。
エリック・デイン (トム・チャンドラー艦長): 『ザ・ラストシップ』の舞台設定はまさに黙示録のようなものなんだ。黙示録の真っただ中にいる。話が進んでいくのと共に、それがはっきりしてくるよ。『地獄の黙示録』なんだ。誰かがそう言っているのを聞いたわけじゃないけどさ。また、この作品には少し時代精神が入っている。ゾンビや黙示録は最近人気が高いだろ? 俺たちの作品にはゾンビはいないけど、致死性のウイルスが出てくるし、面白い題材だと思うよ。物語も深いし、人物像もよく練ってある。俺は心底楽しんで撮影に参加してるんだ。
ローナ・ミトラ (レイチェル・スコット博士): そうなの、私はまた世界を救えることができるのよ!10年の間に二度も同じ任務を任されるのは、喜ぶべきことよね。前(『ドゥームズデイ』で)は、いわば体を張って世界救出を成し遂げようとしたの。でも『ザ・ラストシップ』では、頭脳を使って同じことをしようとしているのよ。もちろんアリーナで2.4メートルの男と戦うのも好きだけどね。本当よ。体を使って世界救出するのも、頭を使って世界救出するのも両方好きなの。武闘で何かを証明する必要もなく、筋肉を使う必要もなく身体的に強い人間を演じること。そしてウイルス学者であり科学者である立場の人間を演じること。この両方の責任を取れるのは素敵なことね。ウイルス学が出てくる作品って『コンテイジョン』や『12モンキーズ』とかはあったんだけど、映画界ではあまり扱われていないジャンルだからこそ、決して軽んじてはいけないという責任がある。実は『ザ・ラストシップ』でマイケル・ベイと仕事をする2年前から神経毒について勉強していたから、神経毒の知識をかなり得ていたの。そんな中、『ザ・ラストシップ』の話がきてぴったりだと思ったわ。エボラウイルスか、何なのかは知らないけど、レイチェルが人類を救うための治療薬を開発するまでの道のりを目の当たりにすることができると思ってね。毎日ウイルス学者と話す機会があるし、さらに自分も研究しながら、レイチェルというかっこいい女性を演じることができているの。
トラヴィス・ヴァン・ウィンクル (ダニー・グリーン大尉): すごく難しいことをしているんだ。もしこれが現実世界で本当に起こったら、と想像してごらん。実際に起こりうることだろう? だから余計に作品の完成度を要求されるんだ。『ザ・ラストシップ』を撮影していると、自分がどう生きていきたいか、自分の私生活について考えさせられる。俺は可能な限り人類に貢献する生き方をしたいと思っているよ。この作品のような状況の中で海軍にいたら、それが任務となるんだ。だからもし現実世界で同じようなことが起きたら、俺は海軍でダニーのような任務に就いていたい。ダニーは俺自身と性格がぴったり合う人物なんだ。彼みたいに自分の仕事をしていると、世界を救うことになるというのはいいことだよね。治療薬の開発が遅れると、その分どんどん人類が滅亡へと向かってしまう状況だしさ。
ハンク・スタインバーグ (製作総指揮): 『ザ・ラストシップ』は黙示録の後に起きた話を描いたものではないと我々は言いたい。黙示録自体を描いているんだ。黙示録の真っただ中の話だから、他の番組や映画とは違う。この作品はどんな逆境でも希望にしがみつくという物語で、だから番組の緊迫感が出せるのだと思う。一刻の猶予もない状況なんだ。治療薬が見つからない限り、毎日50万人の命が失われていく。本作はそんな状況で物語が進んでいくんだ。俳優陣も緊迫した状況であることを全面に出した演技をしている。彼らだって早く家族の元へ戻りたいし、もし治療薬が早く見つかれば、家族を救うことだってできるかもしれない。そしてもしそれができるなら、世界だって救えるかもしれない。我々は黙示録の後の話、つまりすべてが崩壊して15年後とかの話を描く番組とまったく違う特徴を持たせることに重点を置いた。『ザ・ラストシップ』の出来事はすべて現在進行形の話で、ここ4か月ずっと起こっていることなんだ。そしてまだ世界を救うことができる状態だ。
Q:本物のアメリカ海軍と仕事をしたことと、どうやって海軍の人たちとの交流を図ったかについてお話しください。
エリック・デイン: 俺の父親は海軍にいたんだ。『ザ・ラストシップ』を撮影する前は駆逐艦に乗った経験がなかったんだけど、あれは最高にかっこいいよ。駆逐艦に乗せてもらい、3日間海で過ごしたけど、かなり面白い経験ができた。魚雷の訓練をしたり、とにかくすごかったんだ。『グレイズ・アナトミー』をクランクアップして3週間後に『ザ・ラストシップ』の話がきて、すぐにパイロット版を撮影した。海軍の都合に合わせて、駆逐艦を使える時に撮影する必要があったからね。それから製作に入るまで8、9か月待ったんだ。セットを作らなきゃいけなかったし、海軍からもう一艦借りる必要があった。政府機関の閉鎖で一週間ぐらい中断したりもして、製作段階でかなり時間がかかったんだ。このプロジェクト自体も… 数年かけて進めてきたものさ。そして今やっと放送が開始されている。『ザ・ラストシップ』は海軍との共同作業で撮影を進めている感じだよ。役柄上必要な時は、実際の海軍の人に演じてもらうこともある。だって本職の人よりうまく作業をこなせる人なんていないだろう? 撮影をしているのに、動じずに平常どおり仕事をこなすことができる隊員の多さに驚かされるよ。たまに撮影のカメラを向けられると固まっちゃう人もいるけど、隊員の中には物おじせずに仕事をこなせる人もいるんだ。見ていて感心するよ。仕事だから割り切って仕事をする。隊員たちのそういうところが好きだな。
ローナ・ミトラ: 私は軍事物(『ストライクバック』)を撮り終えたばかりだから、軍人と仕事をした経験はあったの。前は特殊作戦隊に協力してもらっていたから、英国人である自分がアメリカにきて、アメリカの軍の部隊を見て、どうやって機械が動いたとか、その構造を見たりして… 彼らと共感できるのよ。軍にいる男性や女性にとても興味を持ったわ。全員に共通することはなんだろう? なぜ軍に入ったんだろう? ってね。軍に入る理由は人によって様々だわ。軍に属し続ける、または居心地がいい理由は、組織に属することに自尊心があるからなの。彼らは自分の得意なことに人生を費やす。戦争の話ではないわ。自分の生き方に誇りを持てるかどうかの話なの。それによって全体の雰囲気が作り出されるから、とってもいい気分になるわ。みんな軍に所属することにとても誇りを持っているのよ。
アダム・ボールドウィン (マイク・スラッタリー副長): 海軍のミサイル駆逐艦に乗船できて光栄だよ。艦長と船員、そして国防省にも喜んで迎えてもらい、恐れ多いけどマイケル・ベイと仕事できることはいい勉強になっている。俺の父親は第二次世界大戦で戦ったから、そのフリでしかないけど、自分なりに父と同じ道を継ぐことは夢みたいだ。前も同じことを言ったけど、アメリカ海軍が敵ではなく、味方で本当によかったと思うよ。駆逐艦は武器を積むことができるし、長距離飛ばせるミサイル以外は防御用の兵器なんだ。俺はアメリカが攻撃者ではないと固く信じていて、どちらかと言えば防御者であり、解放者であると思っているし、意見は変えないつもりだ。こんな素晴らしい組織と一緒に仕事ができるプロジェクトに関われたことが光栄だし、とても恐れ多いと思っている。彼らといい関係を築きたいと思っているよ。
トラヴィス・ヴァン・ウィンクル: 海軍の軍人はもちろん、『ザ・ラストシップ』に関係するであろう様々な組織の人員が現場にいたよ。彼らは物語を進めていく上で助言をくれたし、演技面でも助言をくれた。海軍の何が素晴らしかったかって、身近で仕事ができたことだ。実際の現場にいる人たちが目の前にいて仕事をしていたんだ。だから当人たちの気持ちをより理解することができたのさ。たくさん学ばせてもらったよ。最初マイケル・ベイに「ネイビー・シールズ(アメリカ海軍特殊部隊)の周りにいて、彼らと仲良くなれ」と言われた。だから俺は彼の言うとおりにした。するとネイビー・シールズについてここまで詳しくなると思わなかったくらい詳しくなったんだ。彼らのことを白髪交じりの戦争経験豊富なベテランたちだと思っていたけれど、実際はとても優しくて若い、気取らない人たちだった。彼らは訓練して任務に命を捧げているけれど、それと同じぐらいすごい創造性も持ち合わせている。ある軍人はわめいたり、まくし立てながら一人芝居をやってくれた。彼らとそんな人間的なレベルで共感しあうことができるとは思っていなかった。深い人格と謙虚さを持ち合わせている人たちなんだよ。
Q:本作を作り上げていく中で、最も大変だったことは何ですか?
エリック・デイン: 撮影場所の狭さかな。あの状況で撮影すると少し身動きが取りづらくなる。肩の力を抜かないといけないことを忘れちゃいけないんだ。とても狭い場所なのに撮影班と音声スタッフ、そしてその他大勢が一つの部屋に詰め込まれたら、混雑しちゃうんだよ。
ローナ・ミトラ: こんな男性ばかりの環境では、女性(演じるキャラクター)としては楽しくないわ。「あら、男性たちが中心の世界なのね!」という話じゃないの。個人的な意味で楽しくないのよ。ただでさえ悲惨な状況なのに、それがこんな大規模になってしまうと、性別がどうこうとかそういう感じのことはすべて後回しにされるって考えなきゃいけないの。レイチェルは目の前の課題をこなさないといけない。だけど後ろから脅威が大きく押し寄せている。彼女はある一定の人口がこの新ウイルスにやられたっていう認識はあっても、4か月ほど経ってからじゃないとその深刻さに気づかないの。そしてそこでロシア人が登場する。彼女はもし自分の感情をあらわにしてしまったら、自分が参ってしまう。チャンドラー艦長や他の船員の前で主張をしたり、自分らしさを出したりすることができなくなるという恐怖があるの。だから彼女は人と打ち解けず、つんとしている。彼女は今までどの惑星も人類も見たことのないような大きなファベルジェの卵を背負っているの。そしてそれが壊れないように気をつかっていて、守るべきものはすべて守ろうとしている。この点では自分が女性だろうが関係ないのよね。彼女はアメリカ政府から甚だばかげたような任務を任せられている。でも毎週『The Last Ship』内で出てくる感情の起伏は、一定のレベルに達さないといけないのよ。マイケル・ベイがお得意の爆破シーンを取り入れているから、登場人物たちの演技に真実味を持たせるように頑張らないといけないの。どうなんでしょうね。こんな状況に置かれると、人によっては精神が崩壊しておかしくなっちゃうから、生きようという意志と根性は確固たるものじゃないと、この状況で生き抜くことはできないと思うわ。私たちは自分が思っている以上に強い人間なのよ。目の前の課題をこなさないといけないんだから。
ハンク・スタインバーグ: 『ザ・ラストシップ』のパイロット版はすべて駆逐艦内で撮影をして、シリーズ化されてからセットを作った。海軍は世界を救わなければいけないのに、6か月も駆逐艦を明け渡してとは言えないだろう? 一度数週間に渡って(駆逐艦上で)撮影して、また戻ってきて一週間撮影した。製作の観点からいうと、かなりの挑戦だった。俳優陣は順序不同で撮影しなければいけないからね。
アダム・ボールドウィン: そうだね、一回に2話分を撮影したりした。第2話、第9話、今日は第7話…という風にね。何話を撮影しているかわからなくなる時もあったよ。製作陣があそこまできちんと段取りを決めていてTNT(放送局)の支援があったからこそ、うまくいったんだ。論理的に考えてもあの方法でしか撮影できなかったからね。海軍の駆逐艦が空いていた期間でたまたま撮影を終えられたからラッキーだったよ。
Q:セカンド・シーズンの製作も決まりましたね。来シーズンはどのような展開になっていくのでしょうか?
エリック・デイン: どうなんだろうね。どういった方向に進むかまだ明確に決まってはいないけど、面白いことは間違いないから引き続き観てほしいと思うよ。
トラヴィス・ヴァン・ウィンクル: 『ザ・ラストシップ』はいろんな可能性を秘めているんだ。感動させられるし、様々なことを描いていると思えるし、ファースト・シーズンの最後はみんなぶったまげると思うよ。だからセカンド・シーズンは… どんな始まり方でもあり得るんだ。
ハンク・スタインバーグ: 長期的な目標は世界救出だけど、救うものも直すものもたくさんあるから、一つの方法で世界を元どおりにするとは限らない。(本作の)アイデアを初めて聞いた時、番組が7年、9年と続くことは想像がついたよ。スケールが大きい物語だから、物語内で登場する問題も、自ずと多様になるんだ。新たな登場人物が次々出てくることだってできるし、登場人物たちは世界中を回っているからね。テレビシリーズの『LOST』は“ハッチ”や“他の者たち”という設定があって、素晴らしい番組だった。どういう展開をするのかわからなかったからさ。(『ザ・ラストシップ』の)ファースト・シーズンでの出来事は短いスパンで起こっているものにした。そして、そこから展開できるようにしたんだ。今後の大まかなあらすじは考えてあるから、そのとおりに物語を進めていく予定だ。けれど途中で新たな案が出たら、それも積極的に取り入れていくつもりだよ。
2014年8月9日 サンディエゴ・コミコンにて
「ザ・ラストシップ<ファースト・シーズン>」 2016年2月10日リリース
2014年製作/全10話/各話 約43分
ブルーレイ&DVD 発売/レンタル
◇コンプリート・ボックス ブルーレイ(2枚組)品番:1000586127 ¥11,300+税
◇コンプリート・ボックス DVD(5枚組)品番:1000586126 ¥9,400+税
コンプリート・ボックス映像特典:コミコン、インタビュー、インサイドエピソード、メイキングほか
◇レンタル DVD
デジタルセル配信
発売・販売元:ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
放送情報
BSフジにて日本初放送中
執筆者
Yasuhiro Togawa