『キル・ビル』、主演ユマ・サーマン&ルーシー・リューインタビュー
映画史上最強のクールヒロインが日本刀で悪を斬りまくるスタイリッシュ・バイオレンス・アクション!!
カンヌ国際映画祭の最高賞、パルム・ドールに輝いた『パルプ・フィクション』から9年。
その斬新かつスタイリッシュな映像と、全く予想のつかない展開で世界中の映画ファンから称賛を浴びたクエンティン・タランティーノが、更なる進化を遂げて復活する。彼が最新作『キル・ビル』で挑むのは、映画史上最強のクール・ヒロインが日本刀で敵に立ち向かう、壮絶な復讐の物語。
前作『パルプ・フィクション』の撮影の頃に決まっていた役を演じきったユマ・サーマンさんへのオフィシャル・インタビューをお届けします。
(インタビュー:猿渡由紀)
Q:タランティーノ監督に「キル・ビル」のインスピレーションを与えたのは、あなただったとうかがっていますが、本当ですか?
ユマ・サーマン:「パルプ・フィクション」を撮影している時に、クエンティンはこの映画のアイデアを語っていたの。でも、その後、まったくこの企画について聞くことがなかったから、数年前偶然彼に会った時、「ねえ、あの映画の話はどうなったの?」と尋ねたのよ。それで、彼は再びこの脚本に着手し始めたわけ。
Q:ザ・ブライドという役柄については、あなたもずいぶん意見を出したそうですね。
ユマ・サーマン:そう、クエンティンと私の共同作業で作りあげていった感じね。ずいぶんいろいろと意見交換をしたから、何が彼の案で何が私の案だったのか、もう覚えていないわ。
Q:撮影開始直前になって、あなたが妊娠した時、タランティーノ監督は、あなたの出産が終わるまで撮影を延期するという常識破りな決断をしましたね。
ユマ・サーマン:そのことについては、今も心から感謝している。ザ・ブライドには、私は最初から深く関わってきたから、もしも他の女優がやることになっていたら、とても妙な気がしたと思う。私にとって、この映画をやることは運命だったの。それと同じくらい、この子を生むこともまた、私の運命だったのよ。
Q:今回の映画には日本のサムライ映画、香港のカンフー映画など、さまざまな要素が含まれています。それらのアクションをこなすために、どんな準備をされたのですか?
ユマ・サーマン:トレーニングは、出産を終えてすぐスタートしたの。毎日朝9時から夕方5時まで、週5日、3ヶ月。出産直後の体を元に戻すだけでもひと苦労なのに、これはさすがにキツかったわ。でも、私にとってはいい経験になった。自分には到底できるとは思えなかったことができるようになるって、すばらしいフィーリングよ。
Q:この映画にはバイオレンスの要素もたっぷりです。二児の母となったあなたですが、この映画のバイオレンスをどうとらえますか?
ユマ・サーマン:私の子供はまだ幼すぎるから、この映画を見ることになるのはまだずいぶん先でしょう。でも、その年齢になった頃、彼らはこのバイオレンスがあくまでシネマ体験のひとつとして使われていることを理解してくれると思う。それに、この映画では、女性が強く、たくましく描かれている。ザ・ブライドは、男性に助けを求めようともしないし、被害者意識に取りつかれもしない。こんな女性像を描く映画はあまりないのよ。
だから、私はぜひ将来、この映画を、私の娘にも見てほしいと思うわ。
Q:この映画であなたが演じるオーレン石井は、ヤクザの女親分です。彼女が日本人と中国系アメリカ人のハーフなのは、中国系アメリカ人であるあなたのために、タランティーノ監督が特別にそう設定したのでしょうか?
ルーシー・リュー:そうなの。ある日、クエンティンから突然自宅に電話がかかってきて、「君のために書いた役があるんだ。脚本を読んでくれないか」と言われたのよ。そんなことがあるなんて、まるで嘘みたいで信じられなかったわ。
Q:最初の脚本では、あなたのセリフも英語で書かれていたそうですが。
ルーシー・リュー:オーレンのセリフを日本語にすることは、私が提案したのよ。たとえば、映画後半の決闘のシーンでも、オーレンが日本語でセリフを言ったほうが、インパクトが強まると思ったの。クエンティンは、「君がやりやすいと思ったから、英語にしただけ。日本語にしたいと言うなら、歓迎さ」と言ってくれたわ。
Q:日本語の勉強は、初めてですよね?大変だったのでは?
ルーシー・リュー:聞く、話す、読む、書く、そのすべてを、とにかく家でも毎日勉強したの。セリフは、英語で書かれたものを日本語に訳してもらって、それを私の日本語の先生に読んでもらい、録音した。それから私がそれをリピートする。ただそのセリフを丸暗記するのではなくて、ひとつひとつの単語の意味も、全部質問したわ。そうしたほうが、どの言葉に重きを置くべきかがわかるから。一度セリフを覚えたら、今度は、先生に相手方のセリフを読んでもらって、ロールプレイのように練習もしたの。
Q:言葉のほかにも、日本刀を使ったアクションや、着物を着た時の立ち居ふるまいなど、今回は新しく習うことがずいぶんたくさんあったようですね。
ルーシー・リュー:着物を着て刀を振るのは、難しかった。歩幅を小さくして、内またで歩かないと、着物が崩れてしまう。それに、侍のアクションは上半身が中心だから、肩や首が凝ってしかたなかったわ。でも、着物を着ると、自然に女性らしくなるから、不思議。それに、体が小さくなったような気分になるの。
Q:「チャーリーズ・エンジェル」シリーズ、まもなく日本公開予定の「バリスティック」など、アクション映画の常連になりつつありますね。
ルーシー・リュー:今では、どんなアクションを要求されても、準備期間さえきちんともらえれば、期待に応えられる自信ができたわ。でも、アクションをやりながら、演技もしっかりこなすのは、大変。アクション映画は楽しいけれど、次のプロジェクトは、アクションでないものを探すつもりよ。
2003年10月25日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にて拡大ロードショー!
執筆者
Yasuhiro Togawa